落ちこぼれのこがログ

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「たりないふたり」にひとりで行ってきた

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ちょっと前に「さよならたりないふたり」というお笑いライブに参加した。このライブはオードリーの若林正恭氏と南海キャンディーズの山里亮太氏の社交性、社会性の"たりない"ふたりが漫才やコントをするというもの。興味が湧いた人は調べてみてほしい。語り合える人が僕に"たりない"のでハマったら是非話したい。(ここからは敬称略させていただきます。ご容赦)

出不精の僕が珍しく家を出て、お笑いライブに参加する。お笑いライブが人生初の体験だったこともあり、これは僕にとってかなり大きなイベントだった。僕の重い腰を上がるきっかけは、半年ほど前に出会ったオードリー若林の本「社会人大学人見知り学部卒業見込み」。この本で"若林"という人間に死ぬほどハマった。

 

彼についても無限に書きたいことはあるのだが、それを書いたら終わらなくなってしまうので今回は簡単に。彼の内向的な面、たりない人間性がえげつないくらい自分に刺さるものがあって、人間としてバカハマりした。僕の言葉で紡ぐには勿体なさすぎる、刺さる人には刺さる、本当に読んでみて。
アイドルを好きな人がライブに行ってみたいと思う流れの如く、僕も好きな芸人のライブを観たいと思った。そんなタイミングでライブやります!なんて話を聞いたので、反射的に行ってみようと思うのは当然のお話。検索で受付フォームを見つけるなり、カレンダーを確認することもなく急いで必要事項を埋めていく。日程を確認し、毎週真っ白の土日に滅多に使わないオレンジで「たりないふたり」と打ちこむ。珍しく色づいたスケジュールを見るたび、遠足前の子供の気分を思い出していた。
しばらくして、チケットの当選発表。なんとか第二希望の映画館の席を確保することができた。第一希望で通るかなと思っていたが、彼らの人気は結構すごいものらしい。SNSでも当落で一喜一憂しているのが見受けられ、新しい知らない世界に足を踏み入れたことを実感した。

ライブ当日。休みの日はいつも昼前まで寝ているのだが、朝早くに目が覚めてしまった。遠足前の子どもはまだ僕の中に隠れているのだろうか。隠れているなら大学行くときも顔出してほしいんだけど。夕方のライブに向け、いつも通り過ごしていたが、時計の進みは大学の授業中と同じだったから不思議だ。
待ちきれず予定より早く家を出て、ライブ会場までテーマ曲creepy nutsの「たりないふたり」を無限リピートで車を走らせる。慣れないヒップホップに下手なリズムで揺れる運転。誰にも見られていないお一人様空間だからこその高揚感。いつもとの違いに酔いながらも無事に到着し、ガラガラの駐車場に3.4回切り返す下手くそな駐車を決めた。

僕は映画にあまり行かない。あまりと言うか、映画館に来た回数は片手で数え切れるほど。なので当然、ライブビューイングという形式は初めてである。初めての多いチェリーボーイはここで最初の心理戦を強いられることになった。

「ライブビューイングでポップコーンとかは買うのか否か。」

ここで悩んだ。自問自答で。
「ポップコーンとか買う?」
『いや、これライブビューイングだろ?現場の観客食べてないだろ』
「でもここ映画館じゃん。食べるためにフードコーナーがあるじゃん」
『笑うために観るんだからマナー違反じゃね?』
「確かに。飲み物だけなら許されるかな...腹減ったんだけどな...」
『まぁ好きにすれば』

周りをキョロキョロ確認しながらフードコーナーの前を行ったり来たりする姿は不審だったかもしれない。しばらく悩み、空腹よりも観ながら食べるのはおかしいという感覚が勝利した。トイレに気を遣って量の少なめの飲み物を買ってようやく席へ。しばらくして、隣の席の人が両手で抱えるバケツサイズのポップコーンを抱えて座ったのを見て、「食っていいのかよ!!!」と内心で突っ込んだ。

この話を知り合いにしたら「好きにすればよかったのに」と笑っていた。謎のこだわりで他人の目を気にする、こういう自意識過剰な人としての"たりなさ"はまだまだ拭えない。こんな傾向がある人がたぶん彼らにハマるのかもしれない。

気持ちを切り替え、ライブのスタートを待つ。ライブバージョンのテーマ曲が流れ、彼らがスクリーンに登場する。スクリーンの向こうではあるが、生の空気感に込み上げるものがあり、自然と口角が上がる。感情が動く、"感動"というものを味わった気がした。
ライブ中は終始笑顔だった。たぶん人生で一番笑っていた日だと思う。知らない人の多いところで思いっきり笑えるのだろうか、という小さな不安はすぐに吹き飛んだ。気づけば二人の世界に没頭し、どうでもいい悩みや不安が頭に入る余地はなかった。若林の「ネガティブを潰すのは没頭」という言葉通りの展開、何かに熱中する時間は人を楽にする。

あっという間に3時間弱のライブが終わった。楽しい時間ほど時間が早い、月並みな表現ではあるがこれに尽きる。閉演後、尿意に刈られ、トイレへ駆け込む。手を洗い、ふと鏡を見ながら表情を動かす。笑いすぎて表情筋が痛い。鏡にはいつもより頬が上がっている自分。それを見てライブ前までしていたマスクを取り出し、ぐしゃぐしゃにしてゴミ箱に捨てた。風邪予防バリアはもう必要なかった。
帰り道、余韻に浸りながら車を走らせる。行きよりマシなリズムで揺れながら、自分の好きだったポイントを思い出す。夜ご飯を軽く挟み、また運転。ニヤニヤしながら運転する姿は対向車から見たら、不気味だったかもしれない。

後日、ライブに行ってきた話を知り合いにすると「表情もテンションもいつもより昂ってるね」と笑ってくれた。誰かに話したくて堪らなかったのを隠しきれなかったらしい。恥ずかしい、でもそれぐらい楽しいと思えたんだな、と再認識することができた。

面白かったし、楽しかったし、感動した。ありふれた感想だけれど、これが一番ふさわしいんじゃないかな。そう思わせてくれた若林氏、山里氏の「たりないふたり」には感謝。バリア貼って新しいことから目を背けるより、たまには柄にもないことをしてみるのも悪くないかもしれない。すごくたのしかったです。

移動時間に細々書いていたら、若林氏が結婚してしまった。ご結婚おめでとうございます。気づけば"たりない"のは二人ではなく、客の僕だったというオチ。次回「たりてるふたり」期待してます。

「僕も「たりてる」人間になれるかな」
『難しいんじゃない?多分、彼らみたいに苦労するよ』

......こいつとの付き合い方次第だな。