落ちこぼれのこがログ

考えること、思うことを好き放題書きます Twitter ID@kogatantan

ちょっと不思議な街角アンケート

【スポンサーリンク】

f:id:kogatan:20191008000313p:plain

 

先日、珍しく良心に溢れていて、街でアンケートに答えた。街中を一人で歩いていると、割とこういう声のかけられ方は多い。もしかして、声をかけやすそうな見た目なんだろうか。イヤホンしてダルそうに歩いてるんだけどな。何をどう間違ったら、もっと幸せそうな人じゃなく僕に声をかけてるんだろう。街で声をかけるなら、スカウトとか逆ナンパにしてほしいのだけれど、そんな経験は一切なく、アンケートだけ。イケメンだったらよかったのに。

普段ならガン無視を決め込む、「急いでるんで」と冷たく言い放つことしかないのだが、その時は時間もあったので、気まぐれで「いいですよ」と返した。ここ最近、自分自身でも取材に足を運ぶ機会が増え、他の人がどんな感じなのか見てみようという実験的な意味もあって。

 

結論から書けば、かなりハズレだった。良かったのは「アンケートいいですか?短い時間で終わるので」と定型文を使うところまで。
道の真ん中で声をかけるのは大いに構わない。ただそこで立ち止まって、そのままアンケートを開始しようは非常識だ。お前が世界の中心なら許されるけど、そんなわけがない。「道の真ん中は邪魔になるので端にいきましょう」と僕が言うと虚を突かれたように「そ、そうですね」と慌てて道の端にずれ始めた。今まで声をかけた奴には誰にも言われなかったのだろうか、ていうか自分で気付けや、そんなことを思いながら道の端へ歩いた。

 

 

いざ、アンケート開始。

またしても、ここでいくつかおかしな点があった。アンケートなのに用紙も、録音も、メモを取る様子も一切ないのだ。インタビュアーが全知全能の神で、僕の発言を一言一句覚えられるなら、それでインタビューすればいい。そんな訳がないのだ。見るからに僕より冴えないインタビュアーの男性が、全知全能の神であってたまるか。そう思い、二人組だったので隣の女性がそういう担当かな、とチラッと目を向けても一切そんな様子はない。後から思うとこの女性は一言も発さないし、何のためにいたんだろうか、謎である。この時点で「これはアンケートじゃない」と確信し、何かの勧誘だと悟った。この先に善意はない。完全に興味本位、かつ怖いもの見たさで”アンケート”に参加した。

 

質問内容をまとめると「最近の生活に満足しているか?」というもの。「お仕事は?今の生活の満足度は?将来やりたいことは?」的な質問を、歯切れ悪く僕に投げかけた。あまりにテンポが悪く、下手くそなインタビューを受けて、「僕のインタビューまだマシだったんだな」と思えたので、ある意味感謝している。インタビュアーが下手だと答える側も困るということを、こんな形で身をもって体験するとは思わなかった。インタビュー頑張ろう。
ものは試しと、敢えてフワッとした回答をしてみると、頭上には?マークがいっぱい。説明してみても、飲み込むのが遅く、理解力がない。26歳と最初に言っていたのを思い出して、「こんな26歳はなりたくねぇな」と苦笑いでインタビューの回答を終えた。

 

この中身のないインタビューはどう繋がるんだろうか、と思ったので区切りのいいタイミングで「これ何かに使うんですか?」と質問してみた。すると、そこまで歯切れの悪かった男性が、水を得た魚のように意気揚々と自分たちの説明を始めた。要約すると「若者の幸せを作るお手伝いをしてるんです!」とのこと。やっぱりヤバめの勧誘でした。「残念ですが、もうこの手の勧誘は経験済みなんですぅ〜」とあっかんべーしてやりたい気持ちを飲み込み、興味があるように聞いていた。

「お兄さんは先ほど今の生活の満足度は50%ぐらいって答えてくれましたよね?その満足度もっと上げてみたくないですか!?」

「将来のことはまだ決まってないと答えてましたよね?もっと幸せな将来を作りませんか!?」

なるほど、今に満足してない状況を再認識させ、次の欲求を煽って、ビジネススクールか何かに勧誘する流れか、と感心した。詐欺の時と勧誘する流れは同じで、たぶん僕ぐらいの大学生を釣るには王道テンプレの流れなんだろうな、と納得して黙っていると彼は続けた。

「僕らが声かけたのはお兄さん賢そうだなーと思ったからなんですよ!幸せになりましょう!」

いや、引っ掛けやすそうだから声かけてんだろテメェら。でも、確かにお前らよりは賢いけどな。と内心で悪態をつきながら、そろそろ頃合いだなと思った。味のしないガムをずっと噛んでいるほど馬鹿でもない。

「すいません、いまのお仕事は結構楽しいし、割と幸せなんで結構です、ありがとうございました。」

と返して、僕はその場を去った。逃げるためとはいえ、「割と幸せ」と自然に返したのは自分でもびっくりだった。もしかして、僕はいま楽しいのかもしれない。少し離れてから、僕がお礼言うのおかしくね?……まぁいいや、あ、ワンピース最新刊じゃん、と本屋へ向かった。イヤホンも外して、長袖の腕をまくって、本屋への足取りはいつもに比べて軽かった。